50代になって、少しずつ分かってきたことがあります。
若い頃と同じようには、できないことが増えていく。
たくさん食べられなくなったり。
疲れが翌日どころか翌々日まで残ったり。
思ったほど体が素早く動かなかったり。
鏡を見れば、白いものも増えてきました。
きっと50代には一度は
「ああ、私はちゃんと年を取っているんだな」
と認める、小さな山があるのだと思います。
でも最近、
その山を越えた先には、もう一つ
面白い景色があるんじゃないかと思うようになりました。
それは、
これからの年齢にしかできないことを、
楽しみにすること
以前、
俳優・原田芳雄さんの
「老い」についての素敵な言葉に出会ったのです。
それは
「ダメになるのが楽しいんだよ」
走れなくなったら、
素敵に歩く芝居をすればいい。
セリフがゆっくりしかしゃべれなくなったら、
ゆっくり味わい深くしゃべればいい。
私はこの言葉に、とても惹かれました。
できなくなったことを「敗北」にするのではなく、
役柄を変えてしまう。
昔のように早く歩けなくなったなら、
「歩けなくなった」
だけで終わらせず、
ゆっくり歩くことが似合う人になればいい。
道端の花を見たり、
店先をのぞいたり、
一緒に歩く人を待ったり。
若い頃には少しじれったかった「ゆっくり」が、
年を重ねると、なんだか粋に見える。
そんなことがある気がするのです。
白髪もそうです。
私はまだ白髪染めをしていません。
以前なら、白髪は「隠すもの」という印象のほうが強かった。
でも今はSNSを開けば、
白髪をその人らしく楽しんでいる50代、60代、70代の人たちにたくさん出会えます。
白髪だからこそ似合う色。
白髪だからこそ映える髪飾り。
年齢を重ねた顔だからこそ格好いい服。
それを見ているうちに、
「白髪になったらどうしよう」
ではなく、
「白髪になったら、あんなおしゃれをしてみたい」
と思うようになりました。
これは、なかなか大きな変化です。
昔なら、
身近な人か、テレビや雑誌の中の有名人くらいしか、
未来のお手本を見ることができませんでした。
でも今は違います。
SNSやSubstackを開けば、
普通に暮らしている人たちの中にも、
「こんな60代、素敵だな」
「こんな70代になってみたいな」
と思える人がたくさんいる。
しかも、ときにはその人と言葉を交わせる。
私たちは今、
未来のロールモデルを、自分で探しにいける時代
を生きているんですよね。
そしてこれは、見た目だけの話ではありません。
年を取るほど格好よく見えてくる
「生き方」もあります。
たとえば、
自分がスポットライトを浴びるのではなく、
誰かにスポットライトを当てること。
若い頃は、自分が認められたい。
自分が活躍したい。
自分が前に出たい。
そんな気持ちがあって当然です。
でも人生を重ねると、
「この人、素敵だからみんなに知ってほしい」
「この若い人を応援してあげたい」
「私は後ろで拍手しているくらいがちょうどいい」
そんな生き方が、
不思議なくらい格好よく見えてくる。
たぶんそれも、
年を重ねた人だからこそ似合う装いの一つ
なのだと思います。
我が家には89歳の義母がいます。
最近、義母を見ていて、
「これは89歳だからこその可愛さだなあ」と思うことがあります。
分からないことがあると、
「分からないから教えて」
と素直に言う。
何かうれしいことがあると、
「わあ、うれしいねえ」
と、子どものように喜ぶ。
若い頃なら、
分からないことを素直に聞くのが恥ずかしかったり、
うれしい気持ちをそのまま表すのが照れくさかったりすることもあります。
でも、89歳の義母がそう言うと、
なんともかわいい。
最近私は、
これもまた、89歳だからこそ似合う魅力なのかもしれない
と思うようになりました。
年を重ねることは、
何かを失うだけではなく、
余計な鎧を一枚ずつ脱いで、
もう一度、素直になっていくことなのかもしれません。
そう考えると、
「89歳になったら何ができなくなるんだろう」
ではなく、
「89歳になった私には、どんな味が出ているんだろう」
と、少しだけ楽しみにしてみたくなるのです。
もちろん、老いることはきれいごとばかりではありません。
できなくなる悔しさもある。
体の不安もある。
寂しさだって多々あることでしょう。
だから、無理に老いを好きになる必要はないと思っています。
ただ、
できなくなることを数えるだけではなく、
その年齢にならないと手に入らないものも、一緒に探してみる。
白髪じゃないと楽しめないおしゃれ。
ゆっくりだからこそ見える景色。
誰かを前に出すことが格好よくなる生き方。
そして、
89歳だからこそ似合う素直な「かわいさ」。
そんなものを見つけるたびに、
未来が「失っていく場所」ではなく、
まだ知らない宝物が置いてある場所
に見えてくる気がしています。
50代になった私たちは、
もう半世紀分の経験を持っています。
そしてこれからは、
まだ持っていない年齢への
「憧れ」も、
少しずつ集めていけばいい。
私たちの年だからこそできること。
そして、
これからの私たちにしかできないこと。
そんな「憧れという宝物」を、
一緒に見つけにいきませんか。



読ませていただきました👀✨年を重ねることって、どうしても「失うもの」に目が向きやすいですが、白髪も、ゆっくり歩くことも、89歳のかわいさも全部やさしくつながっていて可愛らしいなと感じました☺️70、80の自分に少し憧れが持てる感じしました♪
キャンディさん
歳をとっていく自分って、どうしても受け入れがたい時がありますけど、その年齢でしか出来ないことや、でてこない味みたいなものもありますね。
自分らしくカッコよく歳をとっていきたいです❤️
いつも素敵なお話、
ありがとうございます✨